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高森明勅
2022.8.17 08:00皇統問題

江森敬治氏の「長子優先」提起の背後あるものは何か?

『秋篠宮』の著者、江森敬治氏がゲスト出演された、
8月7日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」
の部分的な(大部分の?)“文字起こし”を拝見した
(「世界のゴー宣ファンサイト」、根気のいる作業に
当たられたのはハンドルネーム「カレーせんべい」氏)。

これを見ると、江森氏はやはり秋篠宮家の皇位継承を巡る
ご意向を踏まえて、出演されたように思われる。


まず次のような発言に注目したい。


「今も皇位継承第1位は秋篠宮様で、

第2位は悠仁様ということで決まっているわけですね。
もちろん、愛子様とか色々ありますけど、まぁ、
そこはまだこれから議論になるわけなんですけれども」

最初のセンテンスは、“現在の”ルールのもとでの
皇位継承順序を、一先ずそのまま述べておられる。
但し、「今も」という“限定”を敢えて付けておられる点は、
次のセンテンスとの関係で見逃せない。

次のセンテンスでは、「もちろん、愛子様とか色々」と
解決すべき制度的な課題について、「まだこれからの議論になる」として、
先の順序が必ずしも確定的なものではないことを、
少しソフトに示唆しておられるように理解できる。

次に、江森氏と竹田恒泰氏のやり取りにも目を向ける必要がある。


江森氏
「…その中(皇室の中)に暮らしている方々が今どうお考えなのか、

今の皇室の現状ということをもうちょっと踏まえて
(竹田氏は)色々議論されたら(よいのではないか)」


竹田氏
「…それを踏まえた結果がどうして(「今後のことを考えると

将来的には『長子優先』を議論すべき」という)この結論になるんですか?」


江森氏
「はは‥」


江森氏が秋篠宮家に“最も近い”ジャーナリストだという事実を、

ひょっとして竹田氏は知らないのだろうか。
それとも、知っていても皇室の当事者の方々お気持ちに対して、
少しでも想像力を働かせることが苦手なのか(あるいは、その両方か)。


江森氏が、「その中に暮らしている方々が今どうお考えなのか…

ということを…踏まえて」と述べておられる以上、ご自身としては
“主に”秋篠宮家の方々の「お考え」を「踏まえて」いる、
と理解しなければならない。

その上で、そのご意向を「踏まえた結果が」他でもない
「将来的には『長子優先』を議論すべき」という問題提起になった-
という脈絡になる(そもそも「長子優先」を“現在の”皇室に当てはめると、
秋篠宮殿下より敬宮〔としのみや、愛子内親王〕殿下を
優先することになるので、長年、秋篠宮家への密着取材を続けて来た
江森氏が、そのご意向と無関係にこのような、
ある意味では非礼とも言える発言をすることは、考えにくい)。

つまりストレートに言えば、秋篠宮家ご自身が
それを望んでおられることを意味する。
しかし勿論、それをテレビ番組の中で明け透けに語ることは出来ない。
なので、「はは‥」という対応をせざるを得なかっただろう
(内心では“鈍感な奴め!”とか思っていても)。
それでも、注意深い視聴者には伝わったのではないか。

今回の「長子優先」の検討を求める江森氏の提起は、
(憲法第1条及び第4条第1項との関連で)
自由なご発言が許されない秋篠宮家からの
“迂回的な”メッセージとして、慎重に受け止めるべきだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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